AUSTRALIA(オーストラリア)



 
           作者からのご挨拶

  幼い頃、私は祖母に連れられて、よく近くのお寺に遊びに
行ったものである。帰りの道はきまってその日の住職の説教
の反芻であった。それらの話には繰り返し天国が出てきた。
 そこには、いつも美しい音楽が流れ、雲のようななだらかな
丘には、色とりどりの花が咲き乱れている。見たこともない
ような美しい色の鳥たちが、人々の肩や手足に止まったり
して遊んでいる。そして、そこをゆっくりと滑るようにお釈迦様
が歩いておられる。
  このお釈迦様は別として、私はオーストラリアに来て、何
度そのような光景に遭遇したことであろうか。春の晴れた日
カーステレオから流れてくるバロック音楽を聴きながらのドラ
イブは、正に幼い日の祖母の話に出てきた天国そのもので
あった。

  ー中略ー

 私の今度のオーストラリア滞在の目的は三つあった。
ひとつ目は、オーストラリアの粘土とオーストラリアの植物を
使って作品を作ること。二つ目は、それらの作品と日本から
持ってきた作品とを、オーストラリアの人達に比べて見て頂
くこと。三つ目はそれらのほとんどの作品を日本へ持って帰
り、日本の人達に紹介すること。  オーストラリアで作った
作品は、私が未だこの国の粘土や窯に慣れていなかった
せいもあって、満足できるものは数少ないが、3ヶ月の間の
天国での活動の記録には充分ではないかと思っている。

  最後に、この展覧会開催に当たり、次の方々にお世話
になりました。

 ・小畑紘一日本総領事
 ・エリザベス・グリースン館長
 ・モナシュ大学ペニンスラ・キャンパス陶芸家の
  ポ−ル・デービス主任教授を始めとする職員の方々、
  並びに学生の皆様。
 ・陶芸家のバーク氏並びにそのご家族の皆様。
 ・オーストラリアの植物のことをいろいろ教えて下さった
  植物学者のレオン・コスターマンズ氏。
 ・制作の場所や窯を貸して下さったモナシュ大学
  関係者の方々。
 ・翻訳をして下さったカトリーヌ・ウオーナー氏。
 ・原稿の校正並びにタイプをしてくださった村木万里子氏。
 ・助手をして下さった花島秀彦氏、中川保子氏。
 
 その他、温かい眼差しで見守って下さって、3ヶ月間支えて
下さった方々、在豪 日本人の方々。熱い思いを込めて、
心よりお礼申しあげます。有り難うございました。

                       平成七年一月十五日
                               前田 和

                      展覧会カタログ(表紙)                                          



案内状























グロヴィリア


*大きい陶板に適した粘土
 は現地で2種使用。
*窯は大学の窯を使用



アングルド オニオン







モーニングトンアートセンター収蔵作品とエリザベス館長




BACK