東京都日本橋高島屋6階美術画廊 個展
第一回展
草の譜 昭和62年4月29日〜5月5日 第一回展 |
前田和さんと知り合ったのは一昨年、大徳寺の立花 大亀老師の御紹介であった。 平らな陶板に山に咲く草花を押しつけて、その姿や風情をとらえ、焼き締めたうえさらに釉彩をかけるという、自然をとりこんだ新しい芸術的表現をする。 へたをすると通俗的なものになってしまう恐れがあるが、しかし自然の美を人為的にとどめる表現法として一風あり、作者に豊かな詩情があればなかなか面白い仕事ではないかと、私はいささか興を抱き、高島屋さんを紹介した。 その後、さまざまのアドバイスがあり、また私も大いに語らい励ましているうちに、機が熟してきてこのたび個展が開かれることになった。 もちろん創作としては難しい面をもつ仕事である。だが前田さんは、この仕事を成するために生まれて きたような純情な心をもち、深く自然を愛している。きっと、より深い問いかけをして、さらにいいものにしてゆく人だと思い、ここに紹介する次第である。 林屋 晴三 |
第二回展 案内状 |
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前田和さんが東京高島屋における第二回個展を催 すことになった。前回以来4年の年月が経過している が、その間、前田さんはスペインのバレンシア国立 陶器美術館からの要望によって大きな個展を催し、 その自然と語らいのなかから生まれる陶芸は、多くの 共感考を得ている。 さらに国内でも興味深い舞台装置を、熊本市の県立 劇場のために制作するなど、次第にその活動は拡がり を見せつつあり、独特の感性によるー草木捺彩陶ーの 詩情はこのたびの展示会においても人々の心に静かに 語りかけるにちがいない。 林屋 晴三 |
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第三回展
案内状
九州の熊本にあって、日々有明海と普賢岳を目前に
して自らの創意になる「草木捺彩陶」に取り組んでいる
人、前田和さんが四年ぶりに東京高島屋での第三回個展
を催すことになりました。
前田さんの「草木捺彩陶」は人と土と草木が三味一体
となって、自然のもつ美しさに限定された人為を加えて、
その美しさを永遠にとどめようという、まことにロマン
チックな仕事で、それは質朴なうちに意欲的な姿勢をもつ
前田さんにふさわしい陶芸だと思います。
大きな壁面から、室内で鑑賞するにふさわしい作品など、
この度の近作は、作者が想いをこめて作ったものです。
どうか御高覧願いたいと存じます。
林屋 晴三