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   −作者からの挨拶−

                                                             (English)

  1978年から、柔らかい粘土に実物の草花を押して形を取り、素焼きした跡彩色
して焼くという焼き物を作っている。最初は粘土に木の葉を押して、その跡の面白さに
遊んでいたが、次第に葉の形、葉脈の持っている美しさに惹かれ、真剣に葉の形を活
かした焼き物を作と思うようになった。

 蔦の葉をいっぱい使った大作に取り組んだ時の事である。作品に葉を押しつけて2日
目。葉の跡を確認しながらピンセットで一枚一枚作品から取り外している時、既に取り
外してしまって、きれいな葉の跡のついた作品の上を知らないうちに袖で傷を付けてし
まっていた。蔦の葉72枚を使った作品の仕上がり間近のことであったので、麈箱の中
には剥ぎ取られた葉が積もっていた。袖の傷ついた作品をきれいにするには、元の葉
を元の所に押しつけ直し、ヘラで修正してゆかねばならなかったので、麈箱の葉を又一
枚一枚合わせる作業に丸一日も費やしてしまった。

 その事をきっかけで、同じ蔦葛から生えている葉が、一見同じように見えても、同じ物
は一枚もない、この世で唯一枚の葉であることを発見したのである。





2003夏 大徳寺 如意庵にて
立花大亀御老師様(104歳)《106歳寂》

  その後、大徳寺の立花大亀老師様にお目にかかる機会があり、『草木国土悉皆成仏』という言葉を教えていただいた。

 一言で言えば、地上にあるすべてものに仏様が宿っておられると言うことらしい。

 私の作品はそれから変わった。唯の葉が葉でなくなった。一つの生命体に思えてきた。

 植物の根が動物の口、葉が手足、茎が胴体、花が生殖器とも思うようになり、髭根の一本一本、葉脈の先までも大切に表現しなくてはいけないと思うようになった。

 現在の課題は、いかにしたら作品を見て、仏の存在があると感じられるかであり、苦心している。


                


書  立花大亀


    蒼土窯      






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